酸蝕症について

投稿日:2019年1月11日

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こんにちは歯科医師の須藤聖子です。

年末年始雨は降らないもののかなり寒い日が続いております。
乾燥しているので風邪やインフルエンザにはくれぐれも
ご注意ください。

今回は酸蝕症のお話をしたいと思います。

酸蝕症とは、細菌関与のない化学的な歯の溶解であり、う蝕との最大
の違いは、口腔内細菌の関与の有無にある.

つまりミュータンス菌など、う蝕原因菌が関与する脱灰、実質欠損が
生じていると考えられる場合には「う蝕」として
識別され、細菌の関与なく化学的な歯の溶解が生じているもの
と考えられる場合は「酸蝕症」と判断する.

また、う蝕が局所的に発症するのに対し、酸蝕症は酸に
暴露する歯面で拡散する傾向を示す.

う蝕や歯周病の予防対策として歯磨きが第一に挙げられて
きたが、酸蝕症はこのルールが適用されず、綺麗な口腔内
でも発症する可能性がある.

酸蝕症の原因は内因性と外因性に大別される.内因性因子として、
逆流性食道炎が挙げられる.
胃液のph値は1.0-2.0を示し、これが嘔吐物に混在し、口腔内に逆流
することで歯が溶け出す.

具体的な関連疾患として、胃食道逆流症や摂食障害による嘔吐が挙げられる.

外因性因子として、かつてはメッキ工場など酸性ガスの吸引による職業性因子が
主たる原因であったが、現在では非職業性因子の酸性飲料の過剰摂取が主流と
考えられている.

酸性飲料の食べ方、飲み方も影響を及ぼす.
ダラダラ飲みやちびちび飲みでは酸蝕症が生じやすい.
食べ方では、柑橘系果実を前歯でかじる行為や、スライス果実を舐め続ける
行為はリスクが高い.

では、酸性飲食物を摂取したらすぐに酸蝕症になるのかというと酸蝕症の
発生機序において唾液が保護因子として重要な役割を担い、唾液の
酸緩衝能による「中和効果」により保護されるが、繰り返される酸摂取や、
唾液の到達されにくい場所では酸が到達することになる.

酸蝕症の臨床対応としては内科的対応としては、明確な症状を伴わない
場合や軽度の知覚過敏や冷水痛のみを訴える場合には知覚過敏抑制剤
の塗布、知覚過敏用歯磨剤の使用、フッ化物を配合のシュガーレスガムを
用いた歯質強化・再石灰化療法を試みる.

外科的対応として、高度象牙質露出に伴う冷水痛または咬合痛や歯の破折を
伴う実質的欠損を有する場合にはレジン充填を行う.

エナメル質段階の酸蝕症は、冷水痛などの症状を伴わない無症状のまま進行
するため、初期の段階が見逃され発見が遅れる傾向にある。
そのため、定期的検診時により口腔内の定期的チェックと必須である.
参考文献the Qhintessence 2018 vol37

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